Eight Days A Week - 働く母は週8日営業

元DeNAwebディレクター、現在北陸で夫と共にビジネスを営む35歳ワーキングマザー。マメ(息子・6歳)、アズキ(娘・3歳)、フットワークの軽すぎる夫との4人暮らし。

子どもを持つことは起業と似ているのかもしれない

こんにちは、ミユキ(名字)です。

 
はい、タイトルの通りなんですけれども、子どもを持つって起業に似てるんではないかと、ふとそんな気がしたので思いつきで書きます。
 

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photo by jlaceda

周囲の起業人を目にして

私は某IT企業に勤めています。社風にはベンチャー精神が根付いており、毎年多くの同僚が独立起業のために旅立っていきます。
また知人・友人にも起業した人達が数多くいます。
みな想像を絶するほどの苦労を重ね、重圧にさらされ、苦境の中何とか這い上がっていくような生活をしています。
 
他人事ではなく、私の夫も昨年某企業を退職して起業しました。
特殊なビジネスを始めたということもあり、次々に難題にぶち当たり、やはり苦労しています。
 
このとてつもなくしんどそうで、でもめちゃくちゃ楽しそうで、傍目からは狂っているともとれる感じを見ていて、
「あ、これ育児じゃん」
と思いました。
 
 
では具体的に何が似ているんでしょうか。
 
 

1.他人には無謀に見える

起業って、まだまだ世間的には「無謀な挑戦」と受け取られやすいと思います。
今の会社で働いていれば安定してお給料は貰えるし、休日も確保されてるし、よほどのことがなければとつぜん無収入になって路頭に迷うこともない。
 
起業?上手くいくかも分からないのに?むしろ失敗する可能性の方が高いのに?大コケしたら?社会的信用の失墜は?借金は?
 
「何でわざわざ茨の道を選ぶの?」
 
これが一般人の共通意見だと思います。
 
でもやりたいんですよね。
どうしようもなくやりたい、やらずにはいられない。
失敗のリスク?それでも退けない。
目の前にサイコーに素晴らしい世界が見える。
他の誰にも見えていないとしても、自分にははっきりと見えている。
その世界を選ばずに生きることなんて、死んでいるのと同じことだ。
 
それくらいの思いがある、のだと思います。
 
世のお父さん、お母さん、なんかこの感じ共感しませんか。
起業する気持ちは理解できなくても、子どもを持つことに置き換えたら、あぁーってなりませんか。
 
子どもを持つ責任、重圧、苦労、物理的拘束、経済的負担...
現実的に考えていたら、子どもを持たないでいる理由の方が明らかに多いし筋も通っている。
「よくそんな大きなものを背負えるよな。て言うか、背負えてないんじゃないの?世の親って大体が無責任だろ。少なくとも自分にはとてもできないな」と、私もかつては思っていました。

 

2.異常な辛さと異常な多幸感が併存する

組織に属せずに独り立ちしてビジネスをすることはかなり大変そうです。
会社がまるっとやってくれていた諸々の事務手続きや公的手続きは全部自分でやらなきゃいけないし、
諸経費は予想外にかかって常に経済的危機に晒されるし、
四六時中契約のことや売上のことを考えて心は休まりません。
思いがけない、しかもクリティカルな問題が毎日のように発生し、その対処に追われ、当初の計画は崩れ、立て直しに多大な労力と時間を費やさなければいけません。
何が悲しくてこんな苦労を好き好んで引き受けているのか。
もうやめたい、すべてなかったことにしたい…。
 
そんな苦しみの裏側に、麻薬のような快感が潜んでいます。
賛同者が現れた、資金援助を得られた、こつこつ作り上げたものが完成した、受注が取れた、お客様からありがとうと言われた、売上が入金された、お給料を支払えた…
そんな感動的な達成のひとつひとつがもたらす喜びと快感は、それまでの苦しみを豪速風で吹き飛ばすほどの威力を持っています。
果てしない全能感や、こころが温かくジワジワしたもので一杯に満たされたような充足感。
視界が目の前の光景だけにフォーカスして、周りが見えなくなって、でも異様に感覚だけが明瞭になっているような多幸感。
 
 
知ってるよそれ、知ってますよ、われわれパパママも知ってますよー!
幸せすぎて涙が出るなんて、これまでの人生で数えるほどしかなかったのに。
こんな底なしの幸せを知ってしまった後では、もう昔の人生には戻れないのです。
 
 

3.でも伝わらない

とまぁこんな話を他人にしてみても、当事者以外の反応は冷めたものです。
 
「まぁ、凄いと思うけど、やっぱりリスクもあるし俺はできないなぁ」
 
「確かに楽しそうだけど、その分苦労もすごいんでしょ?だったら私は無難でも今の生活の方がいい」

「気持ちは分からなくもないけど、正直宗教じみててちょっと引く」
 
当たり前です。ごく当然の感想です。
そしてどう考えて選択しようと人それぞれの自由です。
 
この気持ちが伝わらないことを、悲しい。もったいない。損している。と思うこともあります。
でも、伝わる人にだけ伝わればいい、と思います。
この喜びは自分だけが感じているわけではない。同じように感じている誰かがこの世界にいる。
それだけでハッピーなのです。
 
 

夫へ

さて、何でこんな事を書いたかと言うと、結局は夫のためなのかなと。
夫が仕事を辞めて独立して、無謀な(要素の多い)ビジネスを始めた事について、両親を始め周囲は随分反対したし、納得した後も強いプレッシャーをかけています。
私自身、何度となく上司のように夫を激詰めしました。
 
私は自分が起業したいとはひとかけらも思いません。
だから夫の思いを尊重する気持ちはありつつも、どうしても負の面に目が向きがちです。

でも、「起業」を「子どもを持つこと」に置き換えてみたら、夫の気持ちも言い分も、よく分かる気がしました。

リスクがあるのは当然なんだ。
でもリスクを取らずに、私は今目の前にいるマメ(息子)とアズキ(娘)という幸せを手にすることはできなかったんです。

毎日好きな服を着て、見たい映画を好きなだけ見て、終電まで仕事に打ち込んで、たくさん稼いで、週末ごとに飲み歩いて、どこでも気軽に旅できる、若々しくて自由気ままな人生。
めちゃくちゃ魅力的だし、たまには戻りたくもなる。
でも私は、どんなに不自由でも子どもたちのいる人生を迷いなく選ぶのです。
どちらが良い、悪いではなく、私は既にその人生を知ってしまったから。
ただその理由だけです。


私は、夫の良き理解者になりきれていないかもしれない。
でも、子どもを持つことに置き換えてみる。そういうフィルターを通すことで、もう少しくらいは近くに寄り添えるのかもしれないと思っています。






真面目か!